私は、代々地場で材木・設計・建築を営む者です。死者6400名を超える阪神大震災の惨状を目前にした時、かつて経験したことのない大きな衝撃を受けました。同時に、私の中で沸き上がってきたものは、このような惨事を防がなければ・・・という使命感ともいえる思いでした。被害が顕著だった木造建築、在来軸組工法の住宅は、新基準以前に建築され、大きな不安を抱えた状態です。このような住宅は、現在1400万棟を超えるともいわれています。
更なる危機が近づいていると予測される現在、多数、広域に対応できる耐震補強方法を早急に開発しなければなりません。 データに基づく確かな耐震補強強度と、簡便な施工性、低コストの3点を基本コンセプトと考え、開発と研究の日々を送りました。 長期にわたる多くの実験と実証の結果、完成したのが、木造住宅用簡易耐震補強金物「三軸」です。 「三軸」の最大の特徴は、従来の圧縮筋違いとは異なり、木の特性である圧縮の3倍の強度をもつ張力を活かしたことにあります。「三軸」補強は、構造材の継ぎ部分を保護、補強し、揺れや柱のハズレを防ぎ、木材強度とバランスのとれた複合力で、基準値の3倍以上の大きな耐力を実現させることもできました。「三軸」による耐震補強によって、多くの住宅の倒壊を防ぎ、尊い生命と大切な財産を守ることを第一の目的として、今後も社会に貢献すべく努力邁進いたします。
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