文京区役所展示会報告   3月12〜14日





 今回の文京区展示会には、弊社の他に田中工務店様等の都選定工法6社が出展致させていただきました。展示期間中は強風の日もあり気候の変化が大きな日々で、このような中ご来場いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。

 今回展示会では耐震補強に対して関心をお持ちの方から、どの程度補強をすれば安全になるかという質問が多くありました。ご存じのように、東京都の場合は首都直下型地震の予想震度が6強〜7。大橋教授は講演で基準1.5強度以下は倒壊と言われています。今迄に耐震補強をされた方や今後耐震補強を計画している方は、この補強評点の確認が必要です。この基準1.5倍程度の補強では倒壊する危険性が高いのです。しかも、現在の耐震補強強度は計算上の強度。実際の耐震強度は解りません。会場の建築士が、自分は2倍以上の補強をしていると話しておられましたが、現実の耐震性を知っての事でしょうか。皆さんに知っていただきたいのは、単純には計算上の補強強度を信用できないということ。その為に、「耐震補強は費用対効果で選択し、余裕を持った補強強度での補強」が必要なのです。補強効果と安全性は金額では決まりません。動的診断結果からも既存木造は経年劣化・欠陥等があり、机上計画の耐震強度が出ない場合が大半なのです。東日本大震災での補強木造の全壊は、現実の補強効果が不足していたことも一因なのです。

 最近、南海トラフでの被害想定が発表され、従来の想定被害とは桁違いの被害予想となり驚かれた方も多いと思います。しかし、この想定でも全倒壊家屋は少ないと考える関係者も少なくありません。実際、56年以前・以降の木造家屋の耐震性は見方で大きく変わります。耐震補強の評点1.0は震度6弱が安全限界。確実な基準補強でこの耐震性です。又、56年以降の木造は基準程度で建てられたものが多く、現在では経年劣化・強度低下をしています。また、実験では約3等級(1.44倍)の木造3階建てが、震度6強(720ガル)10秒で倒壊状況。補強木造や56年以降の木造は必ずしも安全ではないのです。我が家の耐震性を知ることが地震対策の第一歩。又、耐震補強の不安を解決する現在唯一の手段が動的耐震診断です。従来解らなかった耐震性を実際の揺れ具合で推測し、欠陥補強が解ります。今回、展示会に動的耐震診断ビイック社の佐藤会長が来られ、今後の耐震補強の方向性を話し合いましたが、地震多発期を迎えた我が国には、耐震補強の正確な補強効果が施工者・ユーザー双方に解るシステムを一日も早く構築することが必要だと思います。それが、確実な補強を推進することに繋がり、結果、想定大地震から多くの国民の生命・財産を守ることになると思います。